愛犬に血便や血尿の症状がみられると、何か大きな問題があるのではないかと心配になりますよね。犬の血便や血尿はすぐに治るものもありますが、危険な病気のサインということも。
ここでは血便や血尿の原因、注意すべき症状、対処法などをまとめてご紹介します。日頃から愛犬の便や尿の状態をチェックし、すぐに異常に気付けるようにしておきましょう。
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犬の血便と血尿について
犬の血便・血尿はその名の通り、何らかの原因で血液が混ざった状態で排泄される便や尿のことです。血液の量や混じったタイミングによって見た目に違いがあり、気付きにくいこともありますが、日頃から見ていると病気の早期発見につながります。
犬の血便は鮮血が混じっているものから黒っぽいもの、ゼリー状のものまで様々な見た目のものがあります。その見た目は原因を推測するのに役立つので、獣医師に見せるために写真を撮っておきましょう。
- 便が黒い:古くなった血液が混じると黒くなることがあります。
- 便に鮮血が混じっている:肛門から近い場所での出血が原因の可能性が高いです。
- 便に血が付いている:腸の粘膜が傷付いて出血するとゼリー状の粘液とともに血便が出ることがあります。
- 肛門から血が出る:肛門からの出血が止まらない場合、止血機能の異常や腫瘍などの原因が考えられます。
血液が混じって排出される尿のことを血尿と呼びますが、血尿と間違われやすい以下の2つについても知っておきましょう。
- 発情期の出血(避妊していないメス犬)
- 血色素尿
避妊手術をしていないメス犬は発情サイクルに合わせて年に1〜2回、陰部からの出血がみられます。その血液が尿と混じって血尿のように見えることも。発情期の出血は個体差はありますが6〜10日間ほど続きます。
また、血色素尿と呼ばれるものも血尿と間違われやすいです。血色素尿は赤血球中に存在する赤い色素のヘモグロビンが尿の中に混じって出たもので、玉ねぎ中毒などが原因で引き起こります。
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犬の血便の原因には胃や腸の病気のほか、ストレスや食事によるものも考えられます。血便になる前後で何か環境に変化がなかったかも獣医師に伝えましょう。
ストレス
環境の変化などでストレスを感じやすい犬は、いつもと違った場所へのお出かけやペットホテル、来客などによるストレスでお腹を崩し、下痢や血便の症状が出ることがあります。
引越しなどで仕方がないこともありますが、なるべく愛犬にストレスを与えない環境づくりを心がけてあげてください。
食事
食物アレルギーの症状では軽度の血便がみられることもあります。アレルギーでなくても食べすぎや急な食事の変更でお腹の調子を崩し、血便の原因になることも。
愛犬のお腹に負担の少ない食事を選ぶことが大切です。一気に丸呑みしてしまうワンちゃんには早食い防止の食器などを活用しましょう。
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血便は胃腸炎をはじめとした病気のサインかもしれません。寄生虫が原因で胃腸の粘膜が傷ついて出血を起こしていたり、腫瘍から出血していたり、と考えられる原因は様々。
また、熱中症や凝固因子欠損症など血を止める機能が正常に働いていない場合に血便が続くことがあります。
犬の血尿の原因は?
犬の血尿の原因は血便と同じようにストレスが原因のこともありますが、オス犬、メス犬それぞれ特有の病気が原因となっていることも多いです。
ストレス
犬は大きなストレスを感じると嘔吐や下痢、血尿など様々な症状が出ることがあります。もし、病気以外で血尿が続く場合は愛犬が重度のストレスを感じていると考え、環境改善などの対処をしてあげてください。
ペニスの傷
オス犬は激しいマウンティング行動でペニスを傷つけてしまうことがあります。その傷からの出血が尿に混じることで血尿になっているかもしれません。
病気
血尿の原因にはメス犬・オス犬どちらもがかかりやすい膀胱炎や尿路結石のほか、性別特有の病気も考えられます。
犬の血便・血尿の原因となる病気は?
犬の血便や血尿の原因となる病気の代表例をご紹介します。遺伝などで予防するのが難しいものもありますが、食事やワクチン接種などでできる限り対策をしましょう。
血便の原因となる病気
- 下痢や便秘
病気や食べすぎなどが原因で下痢や便秘が続くと、腸の粘膜から出血して血便が出ることがあります。子犬や老犬は特に下痢が原因の脱水症状にも注意が必要です。 - 感染性腸疾患
パルボウイルスをはじめ、ウイルスや寄生虫の感染で胃腸に炎症が起きることがあります。炎症が悪化すると血便がみられることも。 - 炎症性腸疾患
消化器が慢性的に炎症を起こす疾患です。原因ははっきりとわかっていません。 - 出血性胃腸炎
急に症状が現れ、悪化するのも早い出血性胃腸炎。代表的な症状に水っぽい血便や嘔吐が挙げられます。 - 腫瘍
シニア犬になると小腸や大腸などに腫瘍ができることが多く、粘膜が傷ついて血便が出やすくなります。
血尿の原因となる病気
- 膀胱炎
細菌感染などが原因で膀胱炎になると膀胱粘膜に炎症が起き、出血することがあります。ストレスで膀胱炎になるワンちゃんもいるので注意が必要です。 - 結石
尿の通り道である尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)に結石ができてしまうと、排尿時に傷がつき血尿が出ることがあります。子犬からシニア犬までどのライフステージでもみられる病気です。 - 腎不全
腎臓機能の低下で様々な異常症状がみられます。血尿のほかに下痢や嘔吐、食欲不振などの症状も。玉ねぎ中毒で引き起こることのある急性腎不全にも要注意です。 - 前立腺疾患・膣や子宮の病気
オス犬では前立腺疾患、メス犬では膣や子宮の炎症・病気によって血尿の症状が出ることがあります。 - 腫瘍
シニア犬になると膀胱腫瘍の可能性も高まります。血尿が続き、悪化すると排尿困難を引き起こすこともあります。
犬の血便・血尿でこんな症状ならすぐ病院へ
愛犬に血便や血尿に加えて以下のような症状がみられる場合はすぐに病院へ行き、検査・治療を受けるようにしてください。
もし軽度の血便、血尿以外に特に症状がない場合も何か病気が潜んでいる可能性があるので一度動物病院でしっかり検査してもらうことをおすすめします。
- 排泄の姿勢をとるが、便や尿がほとんどでない
- 排泄の際に鳴く
- 多量の血が混じっている
- ぐったりしている
- 熱がある
- 下痢や便秘が何日も続く
- 歯茎や舌の色が普段と違う
- 息が苦しそう
愛犬が血便・血尿になった時の対処法
愛犬が血便や血尿をしたとき、驚くかもしれませんが、診察の役に立つのでできれば便や尿を動物病院に持っていくか、すぐに行けない場合は写真に撮って見せられるようにしておいてください。
血便、血尿になった前後で食事や環境の変化がなかったか、どのくらいの頻度で排泄しているか、ほかに症状がないかなどもメモしておくことをおすすめします。
色のついたトイレシートは血尿がわかりにくいこともあるので、白いものを使うかティッシュで押さえるようにして色を確認しましょう。
犬の血便・血尿は病気のサイン!
犬の血便や血尿についてご紹介してきましたが、いかがでしたか?軽度な血便や血尿はストレスなどが原因ですぐに治ることもありますが、多くの血が混じっている場合や嘔吐・下痢などの症状がみられる場合などは注意が必要です。
いずれにしても原因はわかりにくいので、便や尿を持って動物病院に行ってください。持って行けない場合は写真や動画に残し、少しでも診察の役に立つようにしておきましょう。