ドッグフードとキャットフード、見た目は似ているけれど違いはあるの?と気になったことがある方もいるかもしれません。犬も猫も飼っている方は愛犬がキャットフードを、愛猫がドッグフードを食べてしまったと心配になることもあるでしょう。
それぞれのフードの原材料や含まれる栄養成分などの様々な違いや、専用フードではないものを食べたときに起こりうること、人間が食べても美味しいのか?などペットフードに関する気になる疑問の答えをご紹介していきます。
Table of Contents
犬と猫の食性の違い
犬と猫は、栄養をとるために食べる食べ物の種類や食べ方についての習性(食性)が異なります。食性には草食性、肉食性、雑食性などがあり、動物は食性によって草食動物、肉食動物などと分類可能です。
草食動物は植物から、肉食動物は肉(動物性の食べ物)から栄養を摂取し、雑食動物は肉も植物も食べます。以下は各食性の動物の代表例です。
- 草食動物:ウマ・キリン・ウシ・ウサギなど
- 肉食動物:ライオン・トラ・ネコなど
- 雑食動物:人間・サル・犬など
犬の先祖であるオオカミは狩りをして捕まえた動物を食べる肉食獣。ただし、植物や腐肉、残飯なども食べていることから雑食性が高いといわれています。
1万年以上も前から人間に飼われるようになった犬は異なる食べ物にも適応するようになり、さらに雑食が進みました。植物や穀物も食べ、うまく消化できるようになっており、ドッグフードにもそれらがよく使われています。
犬は雑食もしくは雑食性の高い肉食と考え、お肉や野菜、穀物をバランスよく含んだドッグフードや手作りおやつを与えましょう。
雑食である犬に対して、猫は完全な肉食です。野生の猫は、狩りをして捕まえたネズミやカエルなどを食べて栄養を摂取します。獲物の肉の部分だけを食べ、内臓の中身(植物成分)は食べません。
猫は狩りが得意なので、ペットの猫がネズミなどの小動物を捕まえて帰ってきたことがあるという経験がある方もいるでしょう。なかには草を食べる子もいますが、猫は肉食動物であるため、野菜や穀類、果物だけの食事では生きていけません。
犬と猫の食事回数の違い
ペットの犬や猫であっても野生のときの習慣が残っており、食事スタイルにも違いがあります。食事を与えるときはそれぞれの習性に合わせて量や回数を調整してあげましょう。
犬の先祖であるオオカミはあまり頻繁に獲物を捉えて食べるということができなかったので、一度にたくさんの量を食べるという特徴があります。
ペットの犬もドッグフードを与えると、一気に全部食べる子が多いです。そのため一度に多量のドッグフードを与えてはいけません。
1日に必要な量を朝夕2回に分けて与えるようにしましょう。(子犬のときやシニア期には3〜4回に分けて少量ずつ与える)
犬よりも胃が小さく、一度に多くの量を食べられない猫には置き餌をして好きな時間に食べさせるのがおすすめです。
ウェットフードは匂いが強かったり、痛みやすかったりするので、留守中など長時間の置き餌をする場合はドライフードにしましょう。
猫は犬に比べて食べ物の好き嫌いがある傾向があります。しばらくしても全く食べないようであれば、腐敗する前に片付け、別のキャットフードに変えるようにしてください。
ドッグフードとキャットフードの違い<原材料>
ドッグフードは原材料に肉や肉製品を使用しているのに対し、キャットフードは肉製品にプラスして魚類を使用しているものが多いです。原材料名はパッケージに必ず表示されており、使用割合が多い順に並んでいます。
<ドッグフードの原材料例>
穀類(とうもろこし・コーングルテンミール等)・肉類(家禽ミール等)・豆類(脱脂大豆・大豆粉等)・セルロースetc…
<キャットフードの原材料例>
穀類(とうもろこし・小麦粉・コーングルテンミール等)・肉類(ミートミール・ささみパウダー等)・魚介類(フィッシュミール・フィッシュパウダー等)etc…
ドッグフードとキャットフードの違い<栄養成分>
ドッグフードとキャットフードの一番の違いは含まれる栄養素の割合です。特にキャットフードには猫特有の必須成分が多く含まれており、これらが猫の健康維持にとても重要な役割を果たしています。
栄養素 | 人間 | 犬 | 猫 |
---|---|---|---|
たんぱく質 | 18% | 25% | 35% |
脂質 | 16% | 15% | 20% |
炭水化物 | 66% | 60% | 45% |
上記の表からもわかるように人間や犬に比べて猫はたんぱく質や脂質を多く摂取する必要があります。そのためキャットフードはドッグフードに比べて高たんぱく・高脂肪です。
また、猫が体内で生成できないタウリンやナイアシンなどを多く含むのもキャットフードの特徴。タウリンは猫の目の健康維持にとても重要なもので、不足するとタウリン欠乏症という危険な病気にかかることがあります。
ドッグフードとキャットフードは犬と猫それぞれに必要な栄養素がよく計算されて作られており、栄養素の割合が違うということを覚えておきましょう。
ドッグフードとキャットフードの違い<味>
ドッグフードとキャットフードには味の違いもあります。ドッグフードが淡白な味なのに対し、嗜好性を重視しているキャットフードは味が濃いです。
ドッグフードのなかには甘みが強いものがありますが、キャットフードは塩分を多く含んでおり、しょっぱめのものが多いと考えられます。
無添加フードやプレミアムフードと呼ばれるものはキャットフードでも淡白な味であることが多いです。
ドッグフードとキャットフードの違い<価格>
ドッグフードとキャットフードの価格には大きな違いがあります。どちらも格安フードから高級フードまで価格帯が幅広く、どれを選べば良いか悩む方も多いでしょう。
安すぎると安全性が心配になるかもしれませんが、高すぎるものを選び、「今月は家計が厳しいから…」と頻繁にフードを切り替えるのはよくありません。
継続して購入できる価格の範囲で安全性も高いものを選ぶことをおすすめします。以下は平均的な価格帯のドッグフードとキャットフードの相場です。
500g | 2kg | |
---|---|---|
ドッグフード | 500円 | 2〜3,000円 |
キャットフード | 1,000円 | 4〜5,000円 |
格安ドッグフード・キャットフード
業務スーパーなどでは大容量のドッグフードやキャットフードが格安で販売されていることもあります。オンラインでは訳ありで格安価格となっているものも。
安すぎると安全性が気になりますが、検査はクリアして出回っているものなので最低限の安全性は確保されているといえます。ただし、毎日そして長年与えるものと考えると、やはりより安全性の高いものを選びたいところです。
安くするためにあまり品質のよくない原材料を使ったり、保存期間を長くするために多くの添加物を使用したりしている場合があるので、あまりに安いものはおすすめしません。
<格安フードの相場> | 500g |
---|---|
ドッグフード | 250円前後 |
キャットフード | 600円前後 |
高級ドッグフード・キャットフード
無添加フードや人間用の食品と同等の衛生・管理基準「ヒューマングレード」の原材料を使用して作られたドッグフードやキャットフードは、平均的なものの約2倍以上の価格で販売されています。
人工的な添加物を使っていないことで安全性は高まりますが、賞味期限が短めであることが多いことには注意が必要です。
高級フードは小さめのパックで販売されていることが多いのでより頻繁に購入することになります。
<高級フードの相場> | 500g |
---|---|
ドッグフード | 1,000円〜 |
キャットフード | 2,000円〜 |
犬がキャットフードを食べたらどうなる?
犬と猫を一緒に飼っていると、愛犬がキャットフードに興味を示し、ドッグフードではなくそちらを食べてしまうという方もいるでしょう。
愛犬がキャットフードを食べてしまったという場合、少量では異変は起きないので心配はいりません。ただし、塩分が多く高たんぱく、高脂質のキャトフードを日常的に食べ続けると健康に問題が出てくる危険性があります。
また、キャットフードに多く含まれるタウリンの過剰摂取により引き起こる病気にも注意が必要です。
濃い味のキャットフードを一度食べると淡白なドッグフードでは物足りなくなり、食べなくなることもあります。愛犬の健康維持のために、キャットフードは与えないようにしましょう。
猫がドッグフードを食べたらどうなる?
猫にキャットフードの代わりにドッグフードを与えるのは危険です。ドッグフードには猫特有の必須栄養素であるタウリンやビタミンA、アラキドン酸が含まれていません。
それらの栄養素が不足すると、目の病気になったり心筋症になったりと様々な病気になるリスクが高まります。
ドッグフードの方が粒が大きく、おやつもかたいものが多いので猫が飲み込むと危険です。猫には猫専用の食事、おやつを与えてください。
人間がドッグフードを食べてもOK?
愛犬が食べているものがどのような味なのか?美味しいのか?と気になったことのある方もいるかもしれません。人間用の食品とドッグフードには異なる法律が適用されているので、人間がドッグフードを食べてみることはおすすめできません。
ドッグフードの中には人間向けの食品と同等の基準を満たした原材料を使用した「ヒューマングレード」と呼ばれるものもあります。この表示があるドッグフードは人間が食べられる食材で作られているので、食べることも可能です。
格安ドッグフードは人間にとって危険な添加物が使用されていることもあるので、決して食べないようにしてください。
人間にとってドッグフードは美味しい?
ヒューマングレードや無添加など安全性の高いドッグフードは少量であれば食べても大丈夫と思われますが、美味しいかは断言できません。
犬にも味覚がありますが、人間ほど多彩な味を感じるわけではなくドッグフードはほとんど味付けなしです。愛犬のドッグフードを食べても美味しいと感じることはないでしょう。
犬用のおやつは甘みがあるものも多いので、人間が食べても美味しいと感じられるものはあるとか。ただ、犬にとっての美味しいものと人間にとって美味しいものは異なることをお忘れなく。
愛犬と同じものを食べたいという場合は、無添加おやつを手作りするのがおすすめ!自分で厳選した素材を使用できるので安心です。果物や野菜など素材の甘さが感じられる材料を使っておやつを作りましょう。
愛犬にはドッグフード、愛猫にはキャットフードを!
ドッグフードとキャットフードの違いはお分かりいただけましたでしょうか?犬と猫では必要な栄養素のバランスが異なり、犬にキャットフード、猫にドッグフードを与えるとすぐにではありませんが、危険な病気になってしまうリスクが高まります。
また、ドッグフードやキャットフードは人間向けの食品とは検査基準が違うので、飼い主さんが食べてみるのもおすすめしません。無添加やヒューマングレードのものは安全性は高いですが、美味しいと思うものは少ないでしょう。
愛猫、愛犬それぞれに合わせて開発されたフードを与え、健康に長生きしてもらいましょう。