ご飯をほぼ丸飲みしている犬を見ると、本当に味わっているのか気になりますよね。丸飲みしているように見えて、犬にもきちんと味覚があります。
そこで犬の味覚について、人間と犬の味覚に違いはあるのか、犬が好きな味付け・嫌いな味付け・味覚障害についてなどを徹底解説。特に味覚障害の中には病気が隠れているケースもあるので、飼い主さんは気を付けてあげましょう。
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犬の味覚と人間の味覚の違い
嗅覚は人間よりも犬が優れていますが、味覚は人間と比較してどうなっているのか気になりますよね。同じ哺乳類ですが、犬と人間の味覚では味蕾細胞の数が大きく異なります。
味蕾細胞とは、味覚を感じる為に必要な細胞です。味蕾細胞は舌や喉にあり、味に反応することで脳に伝令が伝わり味を認識します。そのため味蕾細胞の数が多ければ、より繊細な味を認識できるのです。
犬は味蕾細胞がおよそ2,000個弱あり、人間の味蕾数を100%とした場合たったの20%。そのため、人間よりも味覚は鈍くなっています。
また、犬が認識できる味覚は主に下記の4つ。
- 甘味
- 酸味
- 苦味
- 塩味
ただ、近年の研究で実は犬も旨味を感じ取っていることがわかり、味覚は4つではなく5つともされています。現段階では明言できませんが、今後の研究に期待ですね。
次に、人間の味蕾細胞の数はおよそ10,000個あり、犬の5倍にあたります。舌先では甘味を感じ、喉で苦味を感じるなど部位によって使い分けられているのです。
なお、人間の味覚は犬の味覚よりも多い下記5つの味を感じています。
- 甘味
- 酸味
- 苦味
- 塩味
- 旨味
最近では、脂肪味を感じる神経が独立していることが発見され、研究次第では犬の味覚が追加されるように人間の基本味覚が増える日も近そうです。
犬が感じられる味覚の種類
犬は甘味・酸味・苦味・塩味を主に認識しますが、味覚ごとに好き嫌いや感じ方に違いがあります。
人間よりも味蕾が少なく味に鈍感な犬ですが、比較的感じやすい味が甘みです。もともと犬は猫のように肉食ではなく、肉も食べる雑食として繁栄してきました。そのため、肉のほかにもフルーツや穀物も食べており、甘みへの味覚が発達したと考えられています。
犬にとって好きな味も甘みです。甘みはフルーツだけでなく肉の脂肪分にも入っており、食べ物が腐っていない証と言えます。新鮮な食べ物と判断できるので、犬にとって安心できる味なのでしょう。
特に好きな甘みは以下になります。
- 穀物(パン・サツマイモなど)の甘み
- 果物の甘み
- 牛乳の甘み
- 肉の甘み
しかし、甘みが好きとはいえ砂糖を与えるのはNGです。
砂糖は甘くて刺激も強いので犬も喜んで食べてしまいますが、糖尿病や肥満を誘発します。人間が考える甘みとは異なるので、人間用に味付けされた物は与えないようにしましょう。
一方で、味覚の中でも感じにくい味が塩味です。犬にとって塩味の味覚はあまり発達せず、しょっぱい味に鈍感な傾向があります。
そもそも犬は、古来より肉を主食として暮らしてきました。獲物の血液内には適度な塩分も含まれており、肉を食べているだけで塩分の補給も自然にできていたのです。そのため、生きる過程で塩分を調節する必要がなく、塩味の味覚はあまり発達しませんでした。
人間用に味付けされたしょっぱい物も喜んで食べてしまいがちな犬ですが、実は塩味を感じにくいから食べられていただけなのです。犬にとって塩分過多な食べ物は避けて、犬専用の食事やおやつを与えるようにしましょう。
犬の味覚にも人間と同じように好みがあります。前述したように、敏感に感じられる甘い食べ物はよく食べる犬が多いです。
一方で苦手とする味もあります。犬が好まない味覚は苦味と酸味です。苦味と酸味は、犬にとって本能的に拒絶反応が起こるので好みません。
自然環境の中でエサを探す際、食べてはいけない危険な物を味覚で選り分けてきたからと言われています。苦味や酸味を感じる食べ物は、腐っていたり毒性が強い食べ物と犬が本能的に記憶しているからです。
なお、犬にとって好きな味である甘味と、苦手な味の苦味は同じ味覚受容体が反応しています。感覚が発達されているからこそ、甘めな食べ物と苦い食べ物への反応がしっかり分けられるのですね。
犬の味覚は変わることがある?
犬の味覚は変わります。正確には、老化と共に味蕾細胞が減少し味に鈍感になるからです。そのため、老犬は味が分からない物に食欲がわかず、少食になりやすいことも。
ちなみに老化による味覚が変わるのは、犬だけでなく人間も同様です。子供のころ苦手だったピーマンが大人になってから食べられるのも、老化現象によるものです。
老犬がドッグフードを食べない理由は?簡単にできる対処法もご紹介犬のシニア期とは7歳前後を指します。正確には犬種により異なるので、個体差も考慮しなければなりません。
大型犬は5~6歳
中型犬は7歳
小型犬は10歳
シニア犬用ドッグフードによって表記差はありますが、老化により味覚が変わり食欲が落ちるのは同じです。
シニア期に入ってから味覚が変わったと感じた場合、シニア犬専用のドッグフードに切り替えてあげましょう。また、味覚と同時に嗅覚も衰えてくるので、エサを温めるのも香りが立つのでおすすめです。
【老犬に最適】柔らかい手作りご飯レシピ11選!与える際の注意点とは?犬の食欲低下は味覚障害(味覚異常)が原因かも
老化以外で犬の味覚が変化するときは、病気による味覚障害の可能性もあります。
腎臓病
肝臓病
ガン
生活習慣病(成人病)
病気が原因でなくても、治療薬の種類によっては副作用の影響を受ける犬もいます。
そのほか頭部のケガやヤケドがきっかけになることもあり、犬の食欲が低下しているときは味付けだけでなくほかに原因が隠れているかもしれません。食欲低下や好きな味付けが変わった場合は、動物病院で一度診察してもらいましょう。
亜鉛は、味覚の要である味蕾が正常に機能するために必須のミネラルです。亜鉛はドッグフードにも含まれており、健康な犬であれば亜鉛が不足することはまずありません。
しかし、腎臓病や肝臓病を患っていると亜鉛の排出量が増えます。そのため、亜鉛不足を知らず内に引き起こし、味覚障害になってしまうのです。
人間の食べ物を貰い続けた犬は、糖尿病など生活習慣病(成人病)にかかりやすくなります。「ドッグフードを食べなければ人間の食べ物がもらえる」と記憶し、わざと食べなくなる犬も。
その結果、刺激の強い味付けを好むようになり、味覚障害になってしまうのです。人間の食べ物はなるべく与えず、犬用に味付けされた物を与えるようにしましょう。
犬の味覚まとめ
犬の味覚は人間の2割程度の感度しかありません。甘味・酸味・苦味・塩味を主に認識し、甘みは特に大好物。反対に、酸味と苦味は本能的に苦手な味とされています。
犬の味覚は老化と共に変わることもあり、シニア期からは専用のドッグフードやおやつへの切り替えが効果的です。また、老化以外による味覚の変化は、味覚障害の可能性もあります。味覚障害の原因には、腎臓病など気づかぬ病気が潜んでいることもあるので、動物病院へ相談しましょう。
犬の味覚や好みを知ることで、犬が喜ぶ食事やおやつを与えられます。健やかな生活に欠かせない食生活は、飼い主にとっても大切ですよね。家族の一員である犬が楽しく長生きできるように、安心して与えられる食事を選んであげましょう。