犬の去勢手術や避妊手術はオス・メスそれぞれに特有の病気の予防などに役立ちますが、リスクもあるため愛犬に手術を受けさせるか悩む方も多いでしょう。
ここでは犬の去勢・避妊手術のメリットやデメリット、手術前日から抜糸までの流れなどをまとめてご紹介します。手術を受けた後の注意点もチェックして、愛犬が健康で長生きできるようより一層気を遣ってあげましょう。
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犬の去勢・避妊手術は必要?
犬に去勢・避妊手術を受けさせるべきかどうかは人によって意見が分かれます。愛犬の健康な体にメスを入れるのはかわいそう、麻酔や手術のリスクが怖い、と考え手術を行わない方も少なくありません。
ただ、去勢・避妊手術を受けることで望まない妊娠を予防したり、いくつかの病気発症のリスクを下げたりできることから、子犬のうちに手術を受けさせる方が多いです。
去勢・避妊手術はデメリットよりメリットの方が多いといわれますが、体の弱い犬や老犬などは麻酔や手術のリスクが大きくなるので手術は避けた方がいいこともあります。かかりつけの獣医師に相談し、愛犬にとって最もリスクの少ない方法を選ぶことが大切です。
犬の去勢手術とは
犬の去勢手術は全身麻酔を使用し、包皮と陰嚢の間を1.5cm前後切開して、精巣と精巣上体が納まっている睾丸を摘出します。手術時間は約30〜40分で、多くの場合その日のうちに自宅に帰ることができます。
去勢手術の流れ
手術前日
全身麻酔をかけた際に胃の中の未消化物を吐いて誤嚥してしまうことを防ぐため、去勢手術の前夜から絶食する必要があります。食事は手術前日の22時までに済ませ、当日の9時以降は水も与えてはいけません。
絶食開始の時間は手術時間によって異なるので、獣医師の指示に従ってね!
手術当日
手術当日はなるべく排泄排便を済ませてから病院へ行きましょう。術前検査が終わると毛を刈るなどの準備に入ります。準備が完了したら麻酔をかけて手術開始です(30〜40分)。麻酔が覚め、術後管理(約3〜4時間)まで終わると無事飼い主さんの元へ帰れます。
自宅管理
自宅に帰ったら薬の投与など、退院時に指導があった通りにケアを行います。この期間に出血、食欲不振、下痢、ぐったりしているなどの症状がみられたらすぐに獣医師に連絡してください。激しい運動は傷口が開く原因となるので控え、傷口を舐めるのを防止するためエリザベスカラーを活用しましょう。
抜糸
去勢手術の7〜10日後にまた病院へ行き、傷口の縫合糸を外します。シャンプーやお風呂は抜糸後3日以降と言われることが多いです。
去勢手術の費用
去勢手術にかかる費用は犬のサイズや動物病院によって異なります。体の大きな犬種の方が小さな犬種より高くなることが多いです。去勢手術(入院なし)の費用の目安は20,000〜30,000円程度。
手術費用には血液検査や診察料、全身麻酔料、手術技術料などが含まれているのが一般的ですが、費用確認の際は追加でかかる費用があるのかなど、しっかり聞いておくことをおすすめします。
ほとんどの場合、避妊手術はペット保険の補償対象外だよ!
犬の去勢手術はいつ受けさせる?
オス犬の去勢手術は性成熟に達する前に行うのがいいとされています。性成熟に達する時期には個体差がありますが、小型犬では生後7ヶ月頃〜、大型犬では生後1年頃のことが多いです。この時期になると後ろ足をあげて排尿するマーキングがみられたり発情中のメス犬に強い興味を示したりするようになります。
子犬の時の狂犬病ワクチンや混合ワクチン接種の際に、愛犬に去勢手術を受けさせる時期を獣医師に相談しておくといいでしょう。
犬の去勢手術のメリット・デメリット
愛犬に去勢手術を受けさせようと考えている方はメリットだけでなく、デメリットも知っておく必要があります。予防や抑制が期待されることでも、個体差があり、100%そうなるとは限らないことも頭に入れておきましょう。
- 精巣腫瘍、前立腺疾患などの予防
- マウンティング予防
- マーキングの抑制
- 攻撃性の低下
- 麻酔・手術のリスク
- 太りやすくなる
犬の去勢後の注意点
去勢手術を受けてすぐ、抜糸までの期間は激しい運動や長時間の散歩は厳禁です。なるべく家の中で遊び、ストレスを発散させてあげてください。
また去勢手術を受けた後は傷の痛みや様々なストレスから術前よりも元気がなかったり、なかなかご飯を食べられないという事もあります。食事がとれないと回復に時間がかかってしまうので、ドッグフードをふやかしたり、好物をトッピングしてあげたり、と食欲を湧かせる工夫をしましょう。
去勢後、体調が戻ったら注意しておかなければならないのが体重管理です。去勢後は性ホルモンが分泌されなくなり、基礎代謝量が低下する傾向があります。それでいて食欲は増すことが多く、手術前と同じように食事を与えていると肥満になる可能性も。低カロリーの食事に切り替えたり、給餌量をコントロールしたりして愛犬が太りすぎないようにしましょう。
犬のダイエット方法!肥満の目安や気をつけるべき病気もご紹介犬の避妊手術とは
メス犬の避妊手術では全身麻酔をかけて、卵巣または卵巣と子宮を摘出するのが一般的です。手術そのものは1〜2時間ですが、術後管理などもあるので基本的に1泊入院することになっています。
避妊手術の流れ
手術前日
避妊手術では全身麻酔をかけるので、12時間以上の絶食が必要です。食事は手術前日の22時までに済ませ、当日の9時以降は水も与えてはいけません。
絶食開始の時間は手術時間によって異なるので、獣医師の指示に従ってね!
手術当日
避妊手術当日はなるべく排泄排便を済ませて病院へ行き、術前検査→術前準備→手術(麻酔・手術時間30〜40分)となります。覚醒・術後管理(約3〜4時間)の終了後はそのまま入院です。
術後入院
避妊手術後は基本的に1泊入院ですが、腹腔鏡による手術の場合は日帰りのこともあります。
自宅管理
無事退院して自宅に帰ってからは、薬の投与など獣医師に指導された通りしっかりケアを行います。抜糸までの期間にも術後の状態確認で通院が必要となる場合もあるので、柔軟に対応できるようにしておきましょう。もし、食欲不振や下痢など愛犬の様子がおかしいと思ったらすぐに獣医師に相談してください。
抜糸
手術後7〜10日後に再度病院へ行き、抜糸をしてもらいます。抜糸までのシャンプーやお風呂はNGで、抜糸後も3日以上経つまではシャンプー、お風呂、激しい運動などを避けるようにしましょう。
避妊手術の費用
メス犬の避妊手術はオス犬の去勢手術よりも複雑で、費用も高めです。避妊手術(1泊入院)の費用の目安は30,000〜50,000円程度で、診察料、手術料、入院料などが含まれています。後から追加で費用がかかることがないか、事前に確認しておきましょう。
ほとんどの場合、避妊手術はペット保険の補償対象外だよ!
犬の避妊手術はいつ受けさせる?
犬の避妊手術ははじめての発情期を迎える前までに行った方がいいとされています。発情前に避妊手術を行うことで、かなり高い確率で乳腺腫瘍の予防が可能です。
麻酔に耐えられる大きさまで成長し、発情期をまだ迎えていない生後6〜12ヶ月頃までに避妊手術を受けるといいでしょう。発情期を迎える時期は個体差があるので、生後4〜5ヶ月までにかかりつけの獣医師に相談することをおすすめします。
犬の避妊手術のメリット・デメリット
避妊手術を受けさせることで愛犬を病気のリスクから守ることができますが、デメリットもチェックしておきましょう。
- 乳腺腫瘍の危険性を下げる
- ヒート中のストレス軽減
- 生理の出血を気にする必要がない
- 子宮蓄膿症・卵巣疾患の予防
- 麻酔のリスク
- 尿失禁を起こすケースもある
- 太りやすくなる
犬の避妊後の注意点
避妊手術後、抜糸をするまでは激しい運動や長時間の散歩は避けてください。元気な子は運動しないとストレスが溜まることもあるので、家の中で軽く遊んでストレスを発散してあげましょう。外でしか排泄しない場合は、獣医師に相談してOKであれば、ゆっくり短時間の散歩に連れて行きます。
去勢後と同様、避妊後も太りやすくなる子が多いです。去勢・避妊用のドッグフードも販売されているので、必要に応じてドッグフードを切り替え、肥満にならないよう適切にカロリーや給餌量をコントロールしてください。
去勢・避妊手術を受けたら術後の変化に注意!
犬の去勢・避妊手術についてご紹介してきましたが、お役に立てましたでしょうか?犬の去勢・避妊手術には病気の予防やマウンティング抑制、ヒート中のストレス軽減などのメリットがあります。ただし、麻酔をかけてメスを入れる必要があるのでリスクがないというわけではありません。
手術の時期が遅いとあまりメリットがないということもあるので、獣医師に相談しながら慎重に決断してください。術後すぐのケアや体重コントロールは飼い主さんがしっかりと行い、愛犬が健康で長生きできるようにしましょう。