肥満は犬にとって、すぐにではなくてもさまざまな病気発症のリスクを高める危険な状態です。愛犬が肥満になってしまったら、飼い主さんが食事や運動などを工夫してダイエットさせてあげる必要があります。
ここでは犬の肥満の判断基準や肥満が原因で発症しうる病気、ダイエット方法などをまとめてご紹介します。よく計画を立てて、無理のないダイエットで愛犬を健康的な体型に戻しましょう。
Table of Contents
犬の肥満について
犬も人間と同じように、十分な運動をしないのに必要以上に多くのカロリーを摂取することで肥満になります。
肥満は主に基礎代謝カロリーと消費カロリーより、摂取カロリーが上回ることが原因です。愛犬を肥満にさせないようにすることが一番ですが、もしなってしまった場合は、ダイエットで健康的な体型に戻す必要があります。
肥満の原因はさまざまで個体差はありますが、以下の犬種が肥満になりやすいといわれています。また、性別ではオスよりメスが、性別に関係なく避妊去勢手術をした犬の方が太りやすいです。
- ビーグル
- ダックスフンド
- チワワ
- パグ
- ゴールデン・レトリーバー
- ラブラドール・レトリーバー
愛犬が肥満かどうか知るには?
愛犬が肥満かどうかを知るには、犬種別の適正体重やボディ・コンディション・スコア(BCS)と呼ばれる指標に参考にします。
もし自分で判断が難しいという場合は、予防接種や健康チェックで動物病院に行ったときに獣医さんに聞いてみるといいですよ。
愛犬の適正体重を知る
以下の表は犬種別、理想体型の場合の適正体重の目安です。同じ犬種でも体の大きさはさまざまなので、適正体重の範囲にも幅があります。適正体重から10〜15%以上体重が重い場合に肥満と考えるのが一般的です。
この体重の目安に加えて、次にご紹介する指標(BCS)も参考にすると愛犬の肥満度がよりわかりやすくなります。
犬種 | 適正体重 |
---|---|
<超小型犬> | |
チワワ | 1.5〜3 |
トイ・プードル | 2.5〜3.5 |
パピヨン | 3〜5 |
ポメラニアン | 2〜3.5 |
ミニチュア・ダックスフンド | 3.5〜5 |
<小型犬> | |
ウェルシュ・コーギー | 8〜10 |
柴犬 | 7〜10 |
ダックスフンド | 8〜12 |
パグ | 6〜8 |
ビーグル | 8〜14 |
<中型犬> | |
シベリアン・ハスキー | 16〜27 |
ブルドッグ | 18〜23 |
ダルメシアン | 21 |
<大型犬> | |
秋田犬 | 38〜45 |
ゴールデン・レトリーバー | 25〜34 |
ラブラドール・レトリーバー | 25〜34 |
標準体型かを確認
愛犬の体型を上や横からみたり、体を触ったりすることでも肥満かどうかをチェックすることができます。BCS(Body Condition Score)という指標を用い、5段階評価で愛犬の体型を判定。
スコアが低いほど痩せ気味で、高いほど肥満気味です。環境省のホームページではイラスト付きで紹介されているので、ぜひチェックしてみてください。BCS5であればすぐにダイエットを始めましょう。
- BCS 1(痩せ):肋骨、腰椎、骨盤が外から容易に見える。触っても脂肪が分からない。腰のくびれと腹部の吊り上がりが顕著。
- BCS 2(やや痩せ):肋骨が容易に触る。上から見て腰のくびれは顕著で、腹部の吊り上がりも明瞭。
- BCS 3(理想的):過剰な脂肪の沈着なしに、肋骨が触れる。上から見て肋骨の後ろに腰のくびれが見られる。横から見て腹部の吊り上がりが見られる。
- BCS 4(やや肥満):脂肪の沈着はやや多いが、肋骨は触れる。上から見て腰のくびれは見られるが、顕著ではない。腹部の吊り上がりはやや見られる。
- BCS 5(肥満):厚い脂肪におおわれて肋骨が容易に触れない。腰椎や尾根部にも脂肪が沈着。腰のくびれはないか、ほとんど見られない。腹部の吊り上がりは見られないか、むしろ垂れ下がっている。
出典:環境省HP・飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~
肥満が原因の犬の病気
犬の肥満は直接病気に繋がったり、肥満が原因で少しずつ不調が出て将来病気になったり、と健康への影響が大きいです。肥満が原因で発症リスクが高まる病気の例をみていきましょう。
- 循環器や呼吸器の病気
- 糖尿病
- 尿路結石
- 膵炎
- 関節炎・椎間板ヘルニア など
肥満になると身体中に血液を送る役割のある心臓に負担がかかり、病気になったり、老化がはやく進んだりします。
また、太りすぎると脂肪によって喉や気管が狭くなることも。息切れや睡眠時無呼吸、呼吸困難などの呼吸障害になるリスクが高まります。
犬の糖尿病は遺伝的要因がありますが、肥満も大きく関わっているとされています。インスリンの分泌不全で血糖値が上がり、悪化するとさまざまな合併症を引き起こす病気です。
多飲多尿や食事量が増えるのに体重は減少するという症状がみられます。治療が遅れると危険なので、気になったら早めに検査してもらうことが大切です。
腎臓、尿管、膀胱または尿道のいずれかに結石が形成される病気を尿路結石といいます。尿道が完全に詰まってしまい、おしっこが出なくなると命に関わることも。
遺伝的要因もありますが、食事でミネラルを過剰摂取すること、飲水量が減少すること、肥満なども原因になります。
犬が食べたドッグフードなどを消化するのに必要な酵素をつくる膵臓。その膵臓がなんらかの原因で炎症を起こす病気を膵炎といいます。
膵炎の原因ははっきりとはわかっていませんが、肥満や高脂肪食の過剰摂取、内分泌疾患があることなどでリスクが高まると考えられています。
肥満になると体重を支える手足に負担がかかり、関節炎になるリスクが高まります。また、背骨に負担がかかり椎間板ヘルニアになる子も。足が短く、胴が長い犬種は特に足腰に負担がかかりやすいので注意が必要です。
【2022】愛犬にピッタリのペット保険は?補償内容や保険料を簡単比較!犬のダイエット方法〜食事〜
愛犬のダイエットをはじめるとき、まずは毎日与えている食事の見直しを行いましょう。獣医師の指導がない限り、総合栄養食と呼ばれる市販のドッグフードで構いませんが、肥満のワンちゃん向けのものを選んだり、1日に与える量を調整したりしてください。
肥満がひどく、病気になっている場合などは療法食と呼ばれるドッグフードに切り替えた方がいいこともあります。その際は獣医師のアドバイスに従いましょう。ドッグフードだけで1日に必要なカロリーが摂取できるようになっているので、おやつは必要ありません。
おやつをあげる時は低カロリーのものを選ぼう!
犬のダイエット方法〜運動〜
ダイエットのために散歩や遊びなどで運動量を増やすことも大切です。肥満になると体が重くて、あまり散歩に行きたがらなくなる子が多いですが、だからといって運動させなくなると肥満が悪化します。
天候が悪くて散歩に行けない時などは、家の中でおもちゃなどを使って遊んであげましょう。肥満による内臓の病気や足腰の不調が原因で動きたがらないこともあるので、動作がおかしいなと思ったら一度動物病院で検査してもらってください。
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犬のダイエットは食事や運動量を調整する飼い主さんの判断が成功のカギとなります。ダイエットを始めるときは目標体重を決め、一気に落とそうとするのではなく時間をかけて徐々に減量していきましょう。
ダイエットには運動も大切ですが、もし怪我をしているときや体調不良のときなどは無理させず、休ませることも大切です。ダイエットが成功したあとはリバウンドに注意して、運動習慣はそのまま継続させることをおすすめします。
無理のないダイエットで愛犬の肥満を解消!
犬の肥満やダイエット方法についてご紹介してきましたが、いかがでしたか?犬の肥満は呼吸器や循環器、関節など体のさまざまな部分に悪影響をもたらし、危険な病気の原因となることもあります。
もし愛犬が肥満になってしまったら、食事や運動習慣の見直しを行い、無理のないペースでダイエットを行いましょう。
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