犬の生理と呼ばれることもある発情期(ヒート)には、外陰部の出血だけでなく、さまざまな症状がみられることがあります。オス犬との接触にも注意が必要な時期で、散歩やドッグランを利用するときには他の犬とトラブルにならないよう気をつけなければなりません。
ここでは犬の生理(ヒート)の周期や期間、生理痛があるのか、散歩やシャンプーはどうすればいいのか、などメス犬の飼い主さんに知っておいてほしい情報をまとめてご紹介します。
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犬の生理(ヒート)とは
避妊手術をしていないメスの犬は、子犬を授かれる期間とそうでない期間を定期的に繰り返します。そのうち、妊娠できる準備を整える時期(発情期)が「犬の生理(ヒート)」です。
犬のヒートは人間の生理とは仕組みが異なりますが、外陰部から出血する症状がみられることから、よく「犬の生理」と表現されています。犬の生理(ヒート)でみられる出血は子宮内膜が充血することによるものです。
犬の生理(ヒート)のサイクル
メス犬の生理のサイクルは個体差はありますが、一般的に年に約2回の頻度でくるといわれています。発情周期は以下の4つに分けることができ、出血の症状がみられる発情前期〜発情期が犬の生理(ヒート)期間です。
- 発情前期(7〜10日間):妊娠できるよう体が準備し始める時期で、外陰部が2〜3倍に膨らみ、出血も始まります。
- 発情期(8〜14日間):排卵する時期で、妊娠の準備ができています。出血量がピークを迎えたあと、また徐々に減っていきます。
- 発情休止期(2〜3カ月):出血が止まり、元の体の状態に戻ります。
- 無発情期(3〜6カ月):出血もなく、発情もしません。
特に発情期にはオス犬との接触に注意!
犬の生理(ヒート)の期間
犬のヒートの期間で出血を伴うのは約8日前後ですが、長いときは2〜3週間続くこともあります。ヒート終盤には量が減ってきて色も薄くなるので、いつ終わったか気付きにくいことも多いです。
生理が終わるとふくらんでいた外陰部が元に戻るので、そこで確認するのもいいでしょう。もし出血が1カ月以上続く場合は、一度病院で検査してもらってください。
犬の生理(ヒート)はいつからいつまで?
多くの犬はだいたい生後7〜10カ月頃に最初の発情期を迎え、初めての生理を経験します。遅い子は1歳を過ぎてから生理が始まることもあるので、生理が始まらないからといってあまり心配する必要はありません。
人間には生理の終わり(閉経)がありますが、犬は高齢になってもヒートの周期がなくなることはないと考えられています。ただし、若い頃に比べて発情期と無発情期のはっきりとした違いがわからなくなることが多いです。
犬の生理(ヒート)の症状
犬によっては生理中でも出血量が少なく、すぐに自分で舐めてしまうので、飼い主さんが気付かないこともあります。生理(ヒート)期間には、外陰部がはれて出血する以外に以下のような症状もみられることが多いので、知っておきましょう。
落ち着きがなくなる
発情前期のメス犬は興奮しやすく、普段はおとなしい子も落ち着きがなくなったり、攻撃的になったりします。特にメス犬の生理に反応して近づいてくるオス犬には要注意。立ち向かって相手の犬に怪我をさせてしまうかもしれません。
マウンティングするようになる
マウンティングは上下関係の誇示や飼い主さんの気を引くためなどの理由で、メス犬も行うことがあります。ほとんどマウンティングをしない犬でも、ヒート中は他の犬やぬいぐるみなどに自分の陰部を当てるように腰振りする行動がみられることも。
元気がなくなる
犬の生理では人間のようにひどい生理痛はないといわれることがありますが、ホルモンバランスの変化によって元気がなくなる子もいます。
散歩が大好きなワンちゃんも生理中は行きたがらないということもあるでしょう。そんな時はあまり無理はさせず、庭で少し遊ばせるくらいにしましょう。
食欲低下
生理でだるく感じ、運動量が減ると食欲も低下します。無理に食べさせるのはストレスになりますが、栄養は摂取しなければならないので、ふやかしたり、トッピングしたりして食欲が湧くよう工夫してあげてください。
犬の生理(ヒート)と間違えやすい病気
愛犬の陰部から出血がみられるのはヒートによるものだけでなく、病気が原因の可能性もあります。なかには命にかかわる病気もあるので、異変に気付いたらすぐに動物病院に連れて行ってください。
メス犬の膣がなんらかの原因で炎症を起こす病気です。無症状のこともありますが、外陰部が腫れておりものの量が増える、頻尿、陰部を気にするなどの症状がみられたら膣炎かもしれません。子犬の膣炎は自然に治癒することもあります。
避妊手術をしていないメスの老犬で特に注意しておきたい病気です。嘔吐や食欲不振、多飲多尿などの症状がみられ、元気がなくぐったりした様子になる子も。血が混じった膿が出ることがあり、血尿や生理と間違われることがあります。治療が遅れると命に関わるので、早期発見・早期治療がとても重要です。
膀胱炎は細菌感染や外傷、ストレスなどが原因で発症する病気です。オスよりもメスでよくみられ、頻尿や血尿の症状が出ます。元気や食欲はあっても尿の様子がおかしいと思ったら、獣医師に相談してください。
犬の生理(ヒート)の対処法
犬の生理(ヒート)中には、家の中でも外出中も注意しておかなければならないことがあります。出血量が多いワンちゃんの生理中の対処法をご紹介します。
生理オムツを使用
発情前期から発情期にかけては、愛犬の外陰部からポタポタと血が落ちることがあります。量が少ない場合は、自分で舐めてしまって飼い主さんが気付かないということもありますが、出血量が多い場合はソファやカーペットなどが汚れてしまいます。
必要に応じて犬の生理用オムツやマナーパンツを履かせて血が落ちないようにしましょう。生理用オムツを履かせておくことで、散歩中にオス犬の飼い主さんに生理中だと知らせることもできます。
長時間オムツを着用したままにすると蒸れて皮膚トラブルを起こすこともあります。こまめに取り替えてなるべく清潔に保つようにしてあげてください。
トイレシートを敷いておく
生理用オムツやマナーパンツに慣れていないと、着用しているときはトイレを我慢してしまうこともあります。できれば家の中では愛犬の行動範囲にトイレシートを敷き、オムツはとってあげた方がいいでしょう。
犬の生理(ヒート)のQ&A
犬にも生理痛があるのか?生理中の散歩やシャンプーは?など犬の生理に関する気になる疑問の答えをご紹介します。犬のヒートの症状は個体差が大きいので、以下は参考程度にし、愛犬の様子をみてできることをしてあげてください。
人間の生理では子宮の内壁や血液の塊が剥がれることなどが原因で痛みを感じ、その痛みを生理痛と呼びます。犬のヒート中の出血は子宮内膜の充血によるものなので、人間のような生理痛はないといわれることもあります。
ただし、ホルモンバランスの乱れや妊娠準備のための体の変化により、元気がなくなる子もいるため、生理痛が全くないというわけではないようです。
愛犬が生理のときはシャンプーはお休みした方がいいです。免疫力が落ちていたり、いつも以上にストレスを感じやすくなっていたりするので、シャンプーは精神的にも肉体的にも負担になります。
トリミングはサロンによっては受け入れてくれるところもありますが、他の犬やその飼い主さん、トリマーさんに迷惑をかけるかもしれないので、必ず予約の際にヒート中であることを伝えてください。
ヒート中のメス犬のフェロモンは離れた場所にいるオス犬にも届くため、散歩中に近くにいなくても遠くからオス犬が走ってきてつきまとってくる可能性があります。
この時期のメス犬は攻撃的になることも多いので、つきまとってくるオス犬に立ち向かうことも。トラブルの原因になるので、散歩は他の犬に遭遇しない時間帯・ルートで行うようにしましょう。
愛犬に元気がなく散歩に行きたがらない場合は、無理に連れ出さず、家の中や庭で軽く体を動かしてあげてください。
ドッグランやドッグカフェはヒート中の犬はお断りという施設が多いです。もしそうでない場合も、ヒート中はトラブルを避けるためにそれらの施設は利用しないことをおすすめします。
犬の生理(ヒート)中はトラブルを避ける配慮が必要!
犬の生理(ヒート)についてご紹介してきましたが、いかがでしたか?避妊手術をしていないメス犬は定期的に出血の症状を伴う発情期が訪れます。その時期にはひどい生理痛はなくても、ストレスを感じやすくなったり、攻撃的になったりすることもあるので、よく様子を見て散歩などは無理に行かせないことが大切です。
ドッグランやドッグカフェなど他の犬に会う可能性がある施設は利用しないことをおすすめします。お風呂やシャンプーも生理が終わってからにしてあげてください。