愛犬の呼吸がおかしい!咳が止まらない!という場合、気管虚脱という病気が関係しているかもしれません。
気管虚脱は飼い主さんが気付かないあいだにゆっくり進行する恐ろしい病気です。そんな気管虚脱について飼い主さんに知っておいてほしい情報をまとめてご紹介します。
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気管虚脱とは?
気管には口や鼻から吸い込んだ空気を肺に通す役割があります。気管虚脱は、この筒状の気管が何らかの原因でつぶれてしまい、呼吸がしづらくなる病気です。
通常、気管が少しつぶれてしまっても自然に元に戻るのですが、気管への負担が大きくなりすぎると徐々に押しつぶされ、呼吸に支障がでてきます。
気管虚脱の好発犬種
- トイ種:チワワ、ポメラニアン、マルチーズ、ヨークシャーテリアなど
- 短頭種:ブルドッグ、フレンチブルドッグ、パグなど
気管虚脱はトイ種と呼ばれる小型犬やパグやブルドッグなどの短頭種によくみられる病気です。
このほか、ラブラドールレトリーバーなどの大型犬、柴犬などの日本犬も発症することがあります。
気管虚脱の原因
気管虚脱はトイ種や短頭種に多いことからも、遺伝が影響していると考えられていますが、はっきりとした原因は明らかになっていません。
肥満や高温多湿の環境、首輪で気管が圧迫されることなども関係しているのではないかという指摘もあります。
気管虚脱の症状
気管虚脱の主な症状には以下のようなものが挙げられます。
・乾いた咳が続く
・呼吸の際にゼーゼーと音が鳴る
・呼吸困難
・ガーガーというガチョウの鳴き声のような音が鳴る
気管虚脱の症状は興奮した時や運動後に悪化するケースが多いです。初期には呼吸時に音がなったり、乾いた咳をしたりしますが、重症の場合は呼吸困難を起こしチアノーゼがみられることもあります。
特に梅雨から夏場にかけての高温多湿の環境や、季節の変わり目で症状が出やすくなるケースが多いです。
気管虚脱の治療法
気管虚脱には重症度が4段階あります。治療は基本的に内科療法でコントロールしますが、重症の場合は手術が必要です。
- グレード1:気管の内腔が通常の75%
- グレード2:気管の内腔が通常の50%
- グレード3:気管の内腔が通常の25%
- グレード4:気管の内腔がほとんどない状態(手術が必要)
気管虚脱の多くの症例は、食事療法や投薬、サプリメントなどを組み合わせて経過を観察していきます。
食事療法・体重管理
肥満が気管虚脱の原因になっていたり、症状を悪化させたりすると考えられているため、太りすぎている場合は食事や運動量を見直し、体重を管理していきます。
投薬
気管虚脱の症状を改善させるために以下のような薬を複数投薬することも多いです。しかし、これらはあくまで症状を軽減するための治療で、潰れてしまった気管を元に戻すには手術が必要となります。
- 抗炎症剤(ステロイドなど)
- 咳止め
- 去痰剤
- 気管支拡張薬
- 抗菌薬
サプリメント
気管虚脱の場合、抗炎症作用のあるアンチノールなどのサプリメントが処方されることもあります。症状が軽く、サプリメントだけで快適に過ごせているというワンちゃんもいるようです。
ステロイドなどの薬と違って、副作用の心配が少ないのもサプリメントが使用しやすいポイントでしょう。
気管虚脱にはサプリメントが処方されることもあります。
重度の場合は手術を受ける必要があります。手術費用は非常に高額で50万円ほどかかることもしばしば。
気管虚脱を含め、さまざまな病気の入院費用や手術費用をカバーしているペット保険に加入しておくことをおすすめします。
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気管虚脱は遺伝的素因が関係していると考えられているので、予防が難しい病気です。しかし、以下のような対処が症状の悪化防止に有効ともいわれています。
太りすぎると首回りに余分な脂肪がつき、喉を圧迫したり、少しの運動で呼吸が乱れやすくなったりします。肥満はほかの病気の原因にもなりやすいので、気管虚脱でなくても適切な体重を維持するようにしましょう。
興奮したり激しい運動をしたりすると呼吸が荒くなり、気管に負担をかけてしまいます。肥満予防のために適度な運動は必要ですが、息が荒くなるような運動は避けて方がいいです。
首輪がきつすぎると気管を圧迫してしまうことがあります。特に散歩中にリードを強く引いてしまうと呼吸もしづらく、愛犬が苦しい思いをします。
愛犬の成長に合わせて首輪のサイズを調整し、散歩の時はハーネスを使うなど、気管を圧迫しないよう対策しましょう。
症状が軽い場合は薬やサプリメントが処方されます。獣医師の指示に従い、与えるのを忘れないようにしてください。
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いかがでしたか?気管虚脱になると呼吸の際にゼーゼーやガーガーと音が鳴ったり、乾いた咳が出たりします。症状は高温多湿の気候や季節の変わり目に出やすいので、その時期には特に注意してあげてください。
基本的に薬やサプリメント、食事療法など内科的治療で症状をコントロールしますが、重度の場合は手術も必要に。手術費用が高額なのでいざという時に困らないようペット保険に加入しておくことをおすすめします。
肥満や激しい運動など気管に負担がかかることは避けて、愛犬が快適に過ごせるようにしましょう。
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