狂犬病は犬も人も発症するとほぼ100%命を落としてしまう恐ろしい病気です。しかし、事前のワクチン接種や感染後の複数回のワクチン接種で発症を防ぐことができます。
そんな狂犬病について犬を飼っている方や、海外に渡航する予定のある方に知っておいてほしい情報をまとめてご紹介します。
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狂犬病とは?
狂犬病は名前に「犬」という文字が入っており、犬特有の病気?と思われるかもしれませんが、人を含めすべての哺乳類に感染することで知られています。
主な感染源は、狂犬病に感染した動物に咬まれることです。その動物の唾液中に含まれるウイルスが傷口から体内に侵入することで感染します。
現在の日本国内で狂犬病に感染するリスクは極めて低いですが、世界では毎年3万5千人〜5万5千人もの人が狂犬病で亡くなっています。
狂犬病の症状
狂犬病を発症した場合の代表的な症状をご紹介します。人の場合、感染してから発症するまでの期間(潜伏期)が1〜3ヶ月ということが多く、長い場合には感染してから1〜2年後に発症したという事例も。
発症前に感染の有無を診断することができないため、海外で動物に咬まれた時は症状がなくても必ず医療機関に相談することが大切です。
狂犬病を発症した犬の症状
犬の場合、狂犬病の感染から発症までは1〜2週間と人と比べて潜伏期が短いのが特徴です。犬の狂犬病には狂騒型と麻痺型の2つのタイプがあり、前者は極度な興奮状態で攻撃的な行動をとります。
麻痺型では体に麻痺が拡がっていき、食べ物や水が飲み込めなくなります。流れるように大量のよだれが出たり、水を極端に怖れるようになったりするのも狂犬病の代表的な症状です。
狂犬病を発症した人の症状
人が狂犬病を発症した場合は、以下のように症状が悪化していきます。
<狂犬病の症状>
・発熱・頭痛・嘔吐・倦怠感・食欲低下など
↓
・恐水症・全身の麻痺・錯覚など
↓
・脳炎(呼吸困難・血圧低下など)
犬の症状と同じく、水を見ると首の筋肉が痙攣する恐水症や、冷たい風で痙攣を起こす恐風症などの症状がみられ、最終的には昏睡から呼吸停止で死亡してしまいます。
犬の狂犬病ワクチンについて
日本では生後3ヶ月以降のすべての犬に対して狂犬病ワクチンの接種が義務付けられています。飼い主さんは責任を持って愛犬にワクチンを接種させてください。
狂犬病ワクチンは各自治体が行う集団接種と動物病院で行う個別接種があります。
子犬を迎えて最初のワクチン接種は動物病院で獣医師に相談して行うようにしましょう。お住いの市町村に犬を登録した後は、自治体からワクチン接種の案内が送付されます。
ワクチン接種時期
自治体による狂犬病の集団接種は、地域ごとに日程が異なりますが毎年4〜6月の間に実施されます。ワクチン接種の案内は犬の鑑札情報にもとづいて送付されるので、引っ越した場合は犬の登録住所の変更を忘れないようにしてください。
ワクチン接種費用
狂犬病ワクチンの費用は集団接種が約3,000円、個別接種は動物病院によって異なりますが、3,000〜4,000円ほどのところが多いです。最初の狂犬病ワクチン接種の際に犬の登録を行う場合は、新規登録料(鑑札)で別途3,000円かかります。
犬のワクチン接種は必須?予防接種の種類・費用・注意点まとめ日本と世界の狂犬病の現状
狂犬病ワクチン接種の徹底や放浪犬の捕獲などによって、日本では昭和33年以降国内での狂犬病の発生はありません。
しかし、海外で犬に咬まれ日本帰国後に狂犬病を発症した例はいくつかあります。狂犬病は日本・英国・オーストラリア・ニュージーランドなどを除いて世界中で発生している病気ということを知っておきましょう。
平成18年にはフィリピンで犬に咬まれ、帰国後に狂犬病を発症したという事例もあります。海外渡航の際は事前のワクチン接種やもし咬まれてしまった場合の対処についてよく調べておくことをおすすめします。
もし海外で犬に咬まれてしまったら…
海外ではなるべく犬や猫、コウモリなどの動物に近づかないことが重要ですが、万が一犬などに咬まれた場合は、すぐに傷口を石けんと水でよく洗います。
現地の医療機関を受診し、傷の手当てと狂犬病のワクチン接種も受けましょう。狂犬病のワクチン接種は複数回必要なので、帰国時も検疫所に申し出て引き続き必要な処置を受けてください。
狂犬病発生地域で犬などに咬まれ、狂犬病に感染した可能性がある場合、暴露後ワクチン接種を受けることで発症を予防することができます。
咬まれてからできるだけ早く接種を開始する必要があるので、帰国まで待たずに現地の医療機関で初回のワクチン接種を受けましょう。
また、動物との接触が避けられない、近くに医療機関がないといった地域に長期間滞在する場合は、事前に予防接種を受けて渡航することをおすすめします。
犬に噛まれたら病院へ!応急処置や注意すべき感染症まとめワクチンで狂犬病の発症を予防できる!
いかがでしたか?狂犬病は発症するとほぼ100%死に至るとても危険な病気です。しかし、事前のワクチン接種や暴露後ワクチン接種で発症を予防することもできます。
犬を飼っている方は毎年1度忘れずに愛犬に狂犬病ワクチンを受けさせてください。海外に渡航する際は渡航先の狂犬病発生状況や万が一咬まれた時に対応してくれる医療機関などについても調べておきましょう。